全共闘からリブへ 1968.1-1975.12 (銃後史ノート戦後篇8)
『銃後史ノート戦後篇』刊行にあたって
戦争も遠くなった気がします。敗戦から四〇年以上の年月が過ぎて、その間の物質的な変化、とくに六〇年代以降の変化はめざましく、私たちの記憶も、そのあたりからしかたどりにくくなってきました。
しかし、この変化は、他国——第三世界への経済侵略を伴って成し遂げられたものであることを忘れてはならないと思うのです。その侵略は、より複雑な、みえにくい形をとっていますが、日本人である限り、私たち女も直接、間接にそれを支えてきているはずです。
この十年間、十五年戦争下の「銃後史」をたどってきた私たちには、この日本の戦後史における女たちのありようが、あの時代の「銃後の女」と重なって映ります。
戦後四〇年、私たちは何を得、何を失ってきたのでしょうか。それを明らかにする中で、他者、あるいは他国の人々を踏みつけにしない私たちの解放の方向を、今後ともさぐり続けたいと思います。
一九八六年八月 女たちの現在を問う会
***
銃後史ノート戦後篇⑧ 1968.1〜1975.12
特集・全共闘からリブへ
はじめに
エッセイ・わたしの一九七〇年前後
自分育ての頃 森崎和江
わたしのフェミニスト史のはじまり 奥田暁子
修羅と放浪の時代 江刺昭子
父の死は警告だった 古浦千穂子
それぞれの自分を生きて 木下明美
自己肯定という思想 中野冬美
フト出かけた東南アジアで 戸田杏子
行動の季節、女たちと 林郁
冬の死 森馨子
自立への助走 小松満貴子
平和憲法を守る熱い思いをたぎらせていた私 寿岳章子
座談会 東大闘争からリブ、そして女性学、フェミニズム 秋山洋子・池田祥子・井上輝子
女たちの全共闘運動 太田恭子
大学闘争とわたし
いまリブの原点に 老いを意識しつつ 金井淑子(教育大)
私が動けば世の中が一人分動くという実感 徳山晴子(早大)
カモネギ少女の三〇年 星野智恵子(法政)
日大校歌を歌いながら三崎町を揺るがすデモ隊 喜田美登里(日大)
全共闘運動とジェンダー 船橋邦子(お茶大・東大大学院)
女というマイノリティを見つけて 酒井和子(お茶大)
流れ流れて 稲邑恭子(お茶大)
全共闘で学んだこと 長谷百合子(お茶大)
自己否定はつらい 癒しの道へ 村上恭子(東女大)
全共闘運動の突破口としての「性差研」創設 番場友子(東女大)
「女子大生」・「入管闘争」 堀江節子(東女大)
バリケードをくぐって 米津知子(多摩美大)
性解放の名のもとに 町野美和(千葉大)
ひとりになること 上野千鶴子(京大)
シンパでしかありえなかった私 奥山玲子(大阪外大)
学生運動からウーマンリブへ 渡辺文恵(広島大)
私の出会った全共闘 木村京子(九大)
挫折からの出発 宮城晴美(沖縄国際大)
日記から 入管闘争から女性問題へ——明治学院大学女子学生の日々 小林葉子
聞き書き 21世紀の女たちへ 宮岡真紀
「男並み女」からリブへ——学園闘争の中から、女のグループ「エス・イー・エックス」はなぜ生まれたのか? 森節子
「人民の海」の中に脱走兵たちはいた——ベ平連・脱走兵援助活動のこと 坂元良江
わた史のなかの〈ベ平連〉 水田ふう
なぜ「侵略=差別と闘うアジア婦人会議」だったのか 飯島愛子
アジア婦人会議とわたし
「女が働くこと」を問う 山口洋子
怨念・自己変革、そしてやさしさ 山下あつ子
終り頃参加した者として 井筒起美子
手つかずで残された問い 浦島悦子
生命生産の復権を!——長時間保育反対闘争が提起したもの 皆川珂奈江
座談会 リブセンをたぐり寄せてみる 遠藤美咲・織田道子・北山黎子・武田美由紀・生原玲子・町野美和・森節子・米津知子・若林苗子
世界は「野蛮」を待っている——私が座談会に出ないのはナゼかの巻 田中美津
座談会「リブセンをたぐり寄せてみる」に向けて 麻川まり子
変わったことと変わらないこと——モナリザ・スプレー事件から 米津知子
優生保護法改悪阻止運動と「中ピ連」 首藤久美子
K子さん事件を振り返る 駒野陽子
聞き書き 魔女よ翔べ! 麻鳥澄江
あのエロスに満ちた日々よ!——『女・エロス』創刊メンバー座談会 佐伯洋子・舟本恵美・三木草子・吉清一江
資料 宣言(抄) 「女・エロス」編集委員会
学園闘争から・女と美術への問い 富山妙子
女たちと「新しい地平」 岩崎紫子・岩田泰子・杉村一枝・吉住理恵
聞き書き 女性の人権とキーセン観光反対運動 高橋喜久江
キーセン観光に象徴される南北問題 伊藤瀧子
コラム 日記から・1973年12月25日 森川侑子
観光買春反対運動をめぐって 山口明子
居場所を求めて——『あごら』との出会い 高橋ますみ
残された日記から——高野悦子『二十歳の原点』、大槻節子『優しさをください』 首藤久美子
インタビュー グローバル・フェミニズムの可能性 松井やより
コラム 「花の24年組」登場!——少女漫画に何が起こったか
沖縄返還・基地と女たち 佐藤のり子
沖縄 女の一票 金森トシエ
聞き書き 沖縄の売春問題と日本復帰 外間米子
六九年集団就職の頃 島袋佐代子
コラム 外務省機密漏洩事件
復帰前後の沖縄——母に聞く 阿武奈美子
聞き書き 無国籍児問題と国籍法の改正 金城清子
座談会 三里塚に生きて 石井紀子・小川篤子・小泉美代 解説・司会 加納実紀代
誰が王子様を殺したか——萩尾望都『メッシュ』論考 くまがいマキ
万国博との五年半 板垣まさる
虫取りに明け暮れていたころのこと 佐藤まや
公害の多発と反対住民運動の高まり 福嶋広美
日本公害地図
粉じん公害を予防した風成の女たち
水俣へ、そして地元で生きる 丸山美津
反公害運動から生活革命へ 奥澤喜久栄
石油ショックと高度成長の終焉 山辺恵巳子
民間のエネルギー節約運動
消費者よ自信と落ちつきをもって!! 杉並消費者の会
聞き書き 石油パニックのころ 田中里子
女たちにとって一九七三年とは…買いだめで衆愚に逆もどり もろさわようこ
外から見た高度成長 関千枝子
反原発運動と女性——柏崎刈羽原発を中心に 加納実紀代
年表(一九六八〜七五年)
連載・千葉家裁八日市場支部のころ 安藤八千代
終刊にあたって
『銃後史ノート戦後篇』バックナンバー案内
あとがき
戦争も遠くなった気がします。敗戦から四〇年以上の年月が過ぎて、その間の物質的な変化、とくに六〇年代以降の変化はめざましく、私たちの記憶も、そのあたりからしかたどりにくくなってきました。
しかし、この変化は、他国——第三世界への経済侵略を伴って成し遂げられたものであることを忘れてはならないと思うのです。その侵略は、より複雑な、みえにくい形をとっていますが、日本人である限り、私たち女も直接、間接にそれを支えてきているはずです。
この十年間、十五年戦争下の「銃後史」をたどってきた私たちには、この日本の戦後史における女たちのありようが、あの時代の「銃後の女」と重なって映ります。
戦後四〇年、私たちは何を得、何を失ってきたのでしょうか。それを明らかにする中で、他者、あるいは他国の人々を踏みつけにしない私たちの解放の方向を、今後ともさぐり続けたいと思います。
一九八六年八月 女たちの現在を問う会
***
銃後史ノート戦後篇⑧ 1968.1〜1975.12
特集・全共闘からリブへ
はじめに
エッセイ・わたしの一九七〇年前後
自分育ての頃 森崎和江
わたしのフェミニスト史のはじまり 奥田暁子
修羅と放浪の時代 江刺昭子
父の死は警告だった 古浦千穂子
それぞれの自分を生きて 木下明美
自己肯定という思想 中野冬美
フト出かけた東南アジアで 戸田杏子
行動の季節、女たちと 林郁
冬の死 森馨子
自立への助走 小松満貴子
平和憲法を守る熱い思いをたぎらせていた私 寿岳章子
座談会 東大闘争からリブ、そして女性学、フェミニズム 秋山洋子・池田祥子・井上輝子
女たちの全共闘運動 太田恭子
大学闘争とわたし
いまリブの原点に 老いを意識しつつ 金井淑子(教育大)
私が動けば世の中が一人分動くという実感 徳山晴子(早大)
カモネギ少女の三〇年 星野智恵子(法政)
日大校歌を歌いながら三崎町を揺るがすデモ隊 喜田美登里(日大)
全共闘運動とジェンダー 船橋邦子(お茶大・東大大学院)
女というマイノリティを見つけて 酒井和子(お茶大)
流れ流れて 稲邑恭子(お茶大)
全共闘で学んだこと 長谷百合子(お茶大)
自己否定はつらい 癒しの道へ 村上恭子(東女大)
全共闘運動の突破口としての「性差研」創設 番場友子(東女大)
「女子大生」・「入管闘争」 堀江節子(東女大)
バリケードをくぐって 米津知子(多摩美大)
性解放の名のもとに 町野美和(千葉大)
ひとりになること 上野千鶴子(京大)
シンパでしかありえなかった私 奥山玲子(大阪外大)
学生運動からウーマンリブへ 渡辺文恵(広島大)
私の出会った全共闘 木村京子(九大)
挫折からの出発 宮城晴美(沖縄国際大)
日記から 入管闘争から女性問題へ——明治学院大学女子学生の日々 小林葉子
聞き書き 21世紀の女たちへ 宮岡真紀
「男並み女」からリブへ——学園闘争の中から、女のグループ「エス・イー・エックス」はなぜ生まれたのか? 森節子
「人民の海」の中に脱走兵たちはいた——ベ平連・脱走兵援助活動のこと 坂元良江
わた史のなかの〈ベ平連〉 水田ふう
なぜ「侵略=差別と闘うアジア婦人会議」だったのか 飯島愛子
アジア婦人会議とわたし
「女が働くこと」を問う 山口洋子
怨念・自己変革、そしてやさしさ 山下あつ子
終り頃参加した者として 井筒起美子
手つかずで残された問い 浦島悦子
生命生産の復権を!——長時間保育反対闘争が提起したもの 皆川珂奈江
座談会 リブセンをたぐり寄せてみる 遠藤美咲・織田道子・北山黎子・武田美由紀・生原玲子・町野美和・森節子・米津知子・若林苗子
世界は「野蛮」を待っている——私が座談会に出ないのはナゼかの巻 田中美津
座談会「リブセンをたぐり寄せてみる」に向けて 麻川まり子
変わったことと変わらないこと——モナリザ・スプレー事件から 米津知子
優生保護法改悪阻止運動と「中ピ連」 首藤久美子
K子さん事件を振り返る 駒野陽子
聞き書き 魔女よ翔べ! 麻鳥澄江
あのエロスに満ちた日々よ!——『女・エロス』創刊メンバー座談会 佐伯洋子・舟本恵美・三木草子・吉清一江
資料 宣言(抄) 「女・エロス」編集委員会
学園闘争から・女と美術への問い 富山妙子
女たちと「新しい地平」 岩崎紫子・岩田泰子・杉村一枝・吉住理恵
聞き書き 女性の人権とキーセン観光反対運動 高橋喜久江
キーセン観光に象徴される南北問題 伊藤瀧子
コラム 日記から・1973年12月25日 森川侑子
観光買春反対運動をめぐって 山口明子
居場所を求めて——『あごら』との出会い 高橋ますみ
残された日記から——高野悦子『二十歳の原点』、大槻節子『優しさをください』 首藤久美子
インタビュー グローバル・フェミニズムの可能性 松井やより
コラム 「花の24年組」登場!——少女漫画に何が起こったか
沖縄返還・基地と女たち 佐藤のり子
沖縄 女の一票 金森トシエ
聞き書き 沖縄の売春問題と日本復帰 外間米子
六九年集団就職の頃 島袋佐代子
コラム 外務省機密漏洩事件
復帰前後の沖縄——母に聞く 阿武奈美子
聞き書き 無国籍児問題と国籍法の改正 金城清子
座談会 三里塚に生きて 石井紀子・小川篤子・小泉美代 解説・司会 加納実紀代
誰が王子様を殺したか——萩尾望都『メッシュ』論考 くまがいマキ
万国博との五年半 板垣まさる
虫取りに明け暮れていたころのこと 佐藤まや
公害の多発と反対住民運動の高まり 福嶋広美
日本公害地図
粉じん公害を予防した風成の女たち
水俣へ、そして地元で生きる 丸山美津
反公害運動から生活革命へ 奥澤喜久栄
石油ショックと高度成長の終焉 山辺恵巳子
民間のエネルギー節約運動
消費者よ自信と落ちつきをもって!! 杉並消費者の会
聞き書き 石油パニックのころ 田中里子
女たちにとって一九七三年とは…買いだめで衆愚に逆もどり もろさわようこ
外から見た高度成長 関千枝子
反原発運動と女性——柏崎刈羽原発を中心に 加納実紀代
年表(一九六八〜七五年)
連載・千葉家裁八日市場支部のころ 安藤八千代
終刊にあたって
『銃後史ノート戦後篇』バックナンバー案内
あとがき