沖縄を求めて沖縄を生きる 大城立裕追悼論集
又吉栄喜 山里勝己 大城貞俊 崎浜 慎 編
2022年5月10日発行
四六判並製本・386頁

概説
沖縄初の芥川賞作家で長年、沖縄文学をけん引し、沖縄とは何かを問い続け戦後史を体現した大城立裕。小説、戯曲、評論、組踊、琉歌、エッセーまでさまざまな分野で琉球・沖縄の通史を独自の歴史観で書き続けてきました。日本復帰前の1967年には、米兵による暴行事件を通して、米琉親善の欺瞞を暴いた「カクテル・パーティー」で芥川賞を受賞しました。68年には沖縄問題の根源に迫った「小説 琉球処分」を出版しました。組踊集には『真北風が吹けば―琉球組踊続十番などの作品集があります。
大城立裕の文学世界は、沖縄の屈曲した歴史を非常に鮮明に再現してきたともいえます。帝国の一員であると同時に、帝国の抑圧と差別の当事者でもあるということ、第二次世界大戦後、アメリカという新しい帝国秩序が、具体的かつ現実的な抑圧と差別をもって作用した地域であるということ、植民地主義の断絶と連続、同化と異化という自己分裂の中に位置していることなどを、非常に繊細かつ省察的な筆致で描いてきたとかんがえています。大城立裕は「沖縄人とは誰なのか」、そして「日本人とは誰なのか」という根元的な問いを投げかけ、その答えを見つけ出すべく常に努力し、戦後沖縄文学の第一線に立たれてきました。
大城立裕の訃報は2021年10月27日、多くの人々へ衝撃を与えました。大城立裕が残したもの、愛したものがなんであったのか。この遺産を検証し共有することが大城立裕の足跡や提示した課題に答えるためにも、「大城立裕追悼論集」の発行をいたしました。
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