林京子の文学 戦争と核の時代を生きる
「八月九日」の語り部を超えて
戦争と核の時代を生きた作家・林京子(1930-2017)の主要作品を読み解きながら、日本人の戦争・戦後責任、原爆と原発による加害と被害問題を考察した書き下ろし論稿
**********************************************************************************************
目次
序章 7
第一章 上海(戦争)体験 19
第一節 戦中生活の「光」と「影」──『ミッシェルの口紅』 20
1、「映写幕」の意味 20
2、大人、そして少年少女の上海物語 23
3、少女の上海──その「光」と「影」 27
第二節 戦後上海再訪記──『上海』 40
1、心の故郷 40
2、三十六年目の上海 47
3、上海体験と被爆体験──「私」の「恥部」 57
第三節 大人としての上海追体験──『予定時間』 63
1、主人公とリタ 63
2、作品成立 68
3、夢と〈すり替えの論理〉 74
第二章 「八月九日」の語り部 89
第一節 体験と記憶──『祭りの場』 90
1、『祭りの場』以前の被爆記憶 90
2、『祭りの場』の出現と評価 98
3、反語と逆説の意味──「祭り」と「破壊」の間 104
第二節 「傷もの」の有り様──『ギヤマン ビードロ』 114
1、〈女性〉被爆者特有の恐怖 114
2、「上海時代」と「八月九日」 118
3、被爆者だけに留まらぬ「傷」 126
第三節 「八月九日」を語る──『無きが如き』 140
1、二つの糸──「八月九日」の語り部としての「女」と「私」 140
2、すり換えられた核問題 144
3、「無きが如き」の意味 151
第四節 鎮魂の「紙碑」──『やすらかに今はねむり給え』 161
1、学徒動員時代の「不明」──命令解除の問題 161
2、学徒動員と青春の物語 170
3、鎮魂──「不明の時」への解散式 178
第三章 戦後を生きる被爆者 185
第一節 『三界の家』とは 186
1、「家」の崩壊 186
2、父の墓──あの世の家 188
3、「無性」の少女へ 191
第二節 結婚生活の〈奥底〉──『谷間』 196
1、八月X日の思い──なつこが思った結婚生活 196
2、八月Y日の思い──草男から見た結婚生活 205
3、八月X日とY日の抽象化 213
第三節 もう一つの「鎮魂」──『長い時間をかけた人間の経験』 219
1、『祭りの場』との関連性 219
2、被爆者の戦後体験と世界における核の動向 227
3、科学的な証明──放射線問題化 236
第四章 核の恐怖と人間の存在 247
第一節 被爆者は〈人間〉だけなのか──『トリニティからトリニティへ』 248
1、トリニティまで 248
2、トリニティに向かう途上で 251
3、「ルイ」への手紙 255
第二節 〈反原発〉へ──『収穫』 266
1、「小説だが、ドキュメントに近い」の意味 266
2、小説に顕在する〈事実〉 272
3、〈事実〉を小説にする「方法」 284
第三節 〈再出発〉の可能性──『希望』 292
1、小説の成立 292
2、女性被爆(曝)者の結婚問題 297
3、夫婦のあり方・生命の誕生 299
第四節 「フクシマ」後の報告──『再びルイへ』 308
1、悲劇──被爆、上海体験、原発事故 308
2、「喜劇」的な語りぶりへ 313
3、「新しい出発」──脱原発の行動 322
終章 329
文献一覧 337
あとがき 348
戦争と核の時代を生きた作家・林京子(1930-2017)の主要作品を読み解きながら、日本人の戦争・戦後責任、原爆と原発による加害と被害問題を考察した書き下ろし論稿
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目次
序章 7
第一章 上海(戦争)体験 19
第一節 戦中生活の「光」と「影」──『ミッシェルの口紅』 20
1、「映写幕」の意味 20
2、大人、そして少年少女の上海物語 23
3、少女の上海──その「光」と「影」 27
第二節 戦後上海再訪記──『上海』 40
1、心の故郷 40
2、三十六年目の上海 47
3、上海体験と被爆体験──「私」の「恥部」 57
第三節 大人としての上海追体験──『予定時間』 63
1、主人公とリタ 63
2、作品成立 68
3、夢と〈すり替えの論理〉 74
第二章 「八月九日」の語り部 89
第一節 体験と記憶──『祭りの場』 90
1、『祭りの場』以前の被爆記憶 90
2、『祭りの場』の出現と評価 98
3、反語と逆説の意味──「祭り」と「破壊」の間 104
第二節 「傷もの」の有り様──『ギヤマン ビードロ』 114
1、〈女性〉被爆者特有の恐怖 114
2、「上海時代」と「八月九日」 118
3、被爆者だけに留まらぬ「傷」 126
第三節 「八月九日」を語る──『無きが如き』 140
1、二つの糸──「八月九日」の語り部としての「女」と「私」 140
2、すり換えられた核問題 144
3、「無きが如き」の意味 151
第四節 鎮魂の「紙碑」──『やすらかに今はねむり給え』 161
1、学徒動員時代の「不明」──命令解除の問題 161
2、学徒動員と青春の物語 170
3、鎮魂──「不明の時」への解散式 178
第三章 戦後を生きる被爆者 185
第一節 『三界の家』とは 186
1、「家」の崩壊 186
2、父の墓──あの世の家 188
3、「無性」の少女へ 191
第二節 結婚生活の〈奥底〉──『谷間』 196
1、八月X日の思い──なつこが思った結婚生活 196
2、八月Y日の思い──草男から見た結婚生活 205
3、八月X日とY日の抽象化 213
第三節 もう一つの「鎮魂」──『長い時間をかけた人間の経験』 219
1、『祭りの場』との関連性 219
2、被爆者の戦後体験と世界における核の動向 227
3、科学的な証明──放射線問題化 236
第四章 核の恐怖と人間の存在 247
第一節 被爆者は〈人間〉だけなのか──『トリニティからトリニティへ』 248
1、トリニティまで 248
2、トリニティに向かう途上で 251
3、「ルイ」への手紙 255
第二節 〈反原発〉へ──『収穫』 266
1、「小説だが、ドキュメントに近い」の意味 266
2、小説に顕在する〈事実〉 272
3、〈事実〉を小説にする「方法」 284
第三節 〈再出発〉の可能性──『希望』 292
1、小説の成立 292
2、女性被爆(曝)者の結婚問題 297
3、夫婦のあり方・生命の誕生 299
第四節 「フクシマ」後の報告──『再びルイへ』 308
1、悲劇──被爆、上海体験、原発事故 308
2、「喜劇」的な語りぶりへ 313
3、「新しい出発」──脱原発の行動 322
終章 329
文献一覧 337
あとがき 348