火野葦平論  [海外進出文学]論第1部

池田 浩士著

5,600円 +税

ISBN: 978-4-7554-0087-2        2000年12月発行

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「かつて平野謙は、火野葦平と小林多喜二を並べて論じる文学的肉眼ということを語った。しかし、平野謙自身も、また多くの評論家、研究者も、火野葦平という、いわば「戦犯作家」をまともに論究しようとはしなかった。「麦と兵隊」の火野、「花と龍」の火野、「真珠艦隊」の火野、「革命前夜」の火野……。日本の戦後文学は、この文学者を忘れようとすることで、「戦後」を創り上げてきた。そのことに対する強烈なアンチ・テーゼがこの本には込められている。戦争、革命、ヤクザ、炭坑、沖縄、アジアといった火野葦平の主題にそって、その全体像を描ききるという試みは、日本の近代文学(近代そのもの)の総体を相手にするということだ。「海外進出文学」論の第1部として出されたこの本の後に、第2部、第3部が用意されていると思うと、今から胸がワクワクする。」(川村湊・『毎日新聞』文芸時評「今月の推薦」2000年12月)  ISBN 4-7554-0087-2


序 章 なぜいま火野葦平か? 6
第1章 戦場のメールヒェン 30
第2章 「わたし」の限界と虚構の限界 66
第3章 戦地の表情、銃後のこころ 114
第4章 亡霊の言葉を聞く 148
第5章 ドノゴオ・トンカとしての文学表現 202
第6章 河童のいる羅曼(ろまん)部落 243
第7章 女侠と五平太 313
第8章 馬賊芸者の同胞(はらから)たち 347
第9章 石炭仲仕道をめぐって 377
第10章 労働の現場と文学 416
終 章 兵隊たちの戦中・戦後 487