異端論争の彼方へ  埴谷雄高・花田清輝・吉本隆明とその時代

野崎六助

1,900円 +税

ISBN: 978-4-7554-0239-5        2013年10月発行

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思想の巨人たちが残した闘いの跡を独自の観点からとらえ、今この時代の危機を問う。

目次)
異端論争の彼方へ  
埴谷雄高-花田清輝-吉本隆明とその時代

序 忠誠と幻視のはざまで 7
   喜劇‐笑劇‐悲劇 8
   忠誠と幻視のはざまで 10
   三つの論争とその循環性 14
   本書の構成 16

? 三人の異端審問がはじまる 19
第一章 俺は何か悟ったような気になったぜ(一九三三年)  埴谷雄高 20
   1 自同律の不快をつぶやく 20
   2 転向からの非転向という独自性 25
   3 『死靈』「序曲」一章を読む 31
   4 『死靈』「序曲」二章を読む 34
   5 『死靈』「序曲」三章を読む 38
   6 『死靈』伝説とは何か 40
   7 椎名麟三における忠誠 44
第二章 生涯を賭けてただ一つの歌を(一九四一年)  花田清輝 48
   1 花田清輝とメタモルフォーゼ 48
   2 『復興期の精神』を読む 52
   3 無数のわたしが存在する 58
   4 戦後は望ましい戦後ではなく 60
   5 わたしは鉱物になりたい 63
第三章 おれが讃辞と富とを獲たら捨ててくれ(一九五四年)  吉本隆明 65
   1 関係の絶対性とは何か 65
   2 『マチウ書試論』と近親憎悪 68
   3 近代的自我の行方 73
   4 死の国の世代の使者 79

? 異数の世界におりていく 83
第四章 花田清輝よ、そこには厳粛な愚劣があった(一九五六年)  埴谷‐花田論争 84
   1 「政治と文学」論争の第一ステージ 84
   2 絶対的対立者 埴谷と花田 88
   3 垂直軸と水平軸の競作 92
   4 『死靈』から分岐していくエッセイ 94
   5 スターリン批判に向けて 98
   6 レーニンを知り、レーニンを追い越す 101
   7 日本共産党に与う 105
第五章 ぼくは拒絶された思想としてその意味のために生きよう(一九五七‐六〇年)  花田‐吉本論争 109
   1 戦後文学論争の最終ステージ 109
   2 贋アヴァンギャルドを撃つ 113
   3 芸術運動理論への原理的批判 117
   4 勝負はついたと横合いから埴谷が判定した 120
   5 異端論争はいったん終わる 123
   6 もう一人の審判員鶴見 125
   7 どこに思想の根拠をおくか 127
   8 花田の早すぎる晩年 131
第六章 死者の数を数えろ、墓標を立てろ(一九六二‐六四年) 137
   1 党員文学者の集団除名 137
   2 「政治と文学」論争の第二ステージ 142
   3 プロレタリア文学の遺産は誰のものか 145
   4 吉本にとって勝利とは何か 149
   5 異端から正統へ 154
第七章 俺たちは彼らを〈あちらの側〉に預けておく(一九七二‐七五年) 157
   1 『死靈』五章の出現と花田の死 157
   2 新左翼の死は駆け足でやってきた 159
   3 内部ゲバルトの時代 164
   4 死者たちが五章を書かせた 167
   5 あらためて『死靈』四章を読む 168
   6 つづけて『死靈』五章を読む 174
   7 革命家の自己革命 178
   8 愛の物語の不能 181
   9 埴谷万年・吉本千年 184
   10 『死靈』六章以降を読む 187
   11 『死靈』全巻をいかにして読むか 191
   12 『青年の環』と『死靈』 195
   13 花田清輝のために 200
第八章 資本主義は勝利することによって、資本主義はすべてに勝利する(一九八四年)  吉本‐埴谷論争 206
   1 ハイパー資本主義と吉本の勝利 206
   2 教祖の終焉とその後 210
   3 最後の吉本‐埴谷論争 215
   4 ザ・清輝 219
   5 国民的講演家(?)吉本 221 

? 〈帝国〉はけっして滅びない(二〇一三年) 225
   1 〈帝国〉は錯乱する 226
   2 勝利と敗北と――二つにして一つのこと 231
   3 敗北と勝利と――二つにして一つのこと 235
   4 終わったのか終わらないのか 238
   5 音楽データ・ファイルが世界を変えた 240
   6 インターネットは怖ろしい 245
   7 電力を制する者が世界を制する 250
   8 レーニン・イン・ビカミング Lenin in Becoming 253

参考文献 258