免田栄 獄中ノート 私の見送った死刑囚たち

免田 栄

1,900円 +税

ISBN: 978-4-7554-0143-5        2004年08月発行

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獄中三四年六ヶ月、無実の死刑囚・免田栄は処刑台に引かれていく一〇〇人近い死刑囚を見送った。獄中で書かれたノートをもとに死刑の実態を鋭く告発する。

「獄中にいる頃、私は多くの死刑囚を刑場に見送った。一人一人の最後の言葉を聞き、握手を交して来た私は、この国から死刑だけはなくしたいと思った。」——免田栄

 ***

目次

はじめに

1章 海軍航空廠に徴用——戦時下の悲惨な生活の中から
 球磨川のほとりに育って
 太平洋戦争の勃発
 帰郷—国破れて山河あり
 家庭内暴力の嵐に耐えて
 満州からの引揚者をかかえる困難な生活
 元軍馬を買いに連れ出されて—戦争に負けてよかった
 暗黒の運命が牙をむいていた
 祈祷師一家の惨劇は知らなかった
 小鳥とたわむれながら山を登る
 昔の闇商いの仲間と会って
 山奥にイノシシを追って

2章 不当逮捕
 警察官の少女売春斡旋—五人の刑事がピストルをもって山奥へ
 闇集団というべき警察の機構
 凄まじい拷問が始まる
 拝命思想—「天皇から公職を頂いているのだ」
 別件逮捕—闇米の犯人にしたてられる
 二度目の連行、さらに凄惨な拷問
 どんなに凶器を探しても
 被害者と警察官の犯人像が全く違う
 起訴—「お前は地獄に堕ちるか?」

3章 死刑囚の烙印を押されて—無実の人間にこれ以上の人権侵害があるか
 熊本地裁八代支部で死刑判決
 福岡・土手町拘置支所へ移る
 現地調査
 福岡高裁の二審裁判官はあまりにも不勉強であった
 人間の面をかぶった非人間—最高裁裁判官

4章 獄中で死刑制度を考える—被害者感情という名の「敵討ち」思想による死刑制度
 懊悩する無実の死刑囚
 堀向かいの死刑場を知る
 「君は花作りが好きか?」
 初めて見る処刑者
 おれは、お寺の坊主が憎い
 無実の人間が懲罰にかけられた
 「死ぬ事は簡単ですが、生きることは難しい」
 「死の影の谷を歩くとも、災いを恐れじ、汝と我とともにあり」
 金もない、弁護士もない、しかし再審請求だけは

5章 刑場に消えた人々
 死刑制度を再考せよ
 真犯人がいたのに無実の人間が処刑される
 長崎の鐘とともに—カルバリ会による伝道が
 第三次再審請求に向けて
 暗夜の曙光
 西辻裁判長の再審裁判開始決定
 アリバイの証人を偽証罪へ
 日弁連人権擁護委員会に支援を要請
 福岡刑務所に移る
 相次ぐ死刑の執行
 藤崎拘置所に移る
 執行の知らせにうなずく女子死刑囚
 点字とカナリア
 日弁連人権擁護委員会が動く
 第六次再審請求の希望の星を解任
 日弁連の渾身の努力と山本裁判長の英断

6章 再審の開始
 前例のない確定死刑囚再審裁判開始
 処刑場に入る
 再審開始へ、八代拘置所に移る
 再審裁判
 わが国初の死刑囚再審無罪が確定
 冤罪は完全に晴れた
 心ない民衆の中傷と悪罵
 社会復帰の初期につまずく
 熊本から大牟田へ
 天皇制神権主義とわが国の裁判官
 天皇と裁判
 欧州への旅

資料 第三次再審開始決定(西辻決定)

あとがき